師匠の命日が近づいてきました。毎年この時期になると、いつもより余計に師匠の事を考える時間が増えます。
「弱法師」をやると決めました。
圧倒的な力不足は、分かっています。手こずるとか、手強いとか、そんなレベルどころか世界が違うくらいに思います。あの頃の師匠の姿ばかり思い出されます。「壮絶」とよく言われますが、全く逆だと僕は思いました。
そのもっと前、神戸の稽古を終えて、ぼそっと「弱法師はもっぺんやりたいと思うねん」と言わはった各駅停車の帰り道。
その数年前、太融寺で観た初演。
文楽劇場から病院へ戻り、「ナハハー」と笑った事。
翌日、ものすごく清々しい顔だった事。
記憶とのたたかいです。
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